「マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書」感想レビュー|誰でもできる論理思考の基本と実践

「ロジカルシンキング」という言葉を聞くと、なんだか難しそう、堅苦しそうと身構えてしまう人も多いのではないでしょうか。

私自身もそのひとりでした。

でも、マッキンゼーで新人研修として実践されているロジカルシンキングを学ぶことで、その印象ががらりと変わりました。

今回ご紹介するのは、大嶋祥誉さんの著書『マッキンゼー流 入社1年目ロジカルシンキングの教科書』です。

この本には、「思考の型」を学ぶだけでなく、実際に仕事やコミュニケーションに活かせる具体的なヒントがたくさん詰まっています。

読み進めるうちに、「これなら自分にもできるかもしれない」と思えるようになり、日々の仕事の進め方や、人との接し方まで変わっていきました。

この記事では、私の読書目的や得られた気づきを交えながら、特に印象に残ったポイントを10項目に整理してご紹介します。

著者と本の概要:マッキンゼーの思考法を、だれでも実践できる形に

著者の大嶋祥誉(おおしま・さちよ)さんは、元マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントで、現在はセンジュヒューマンデザインワークスの代表取締役。

エグゼクティブコーチとして、企業やリーダーの育成に携わる専門家です。

本書では、マッキンゼーの新人研修や実務をベースにしたロジカルシンキングの基本を、エピソードとともにやさしく解説。

新人でも実践できるように噛み砕いて説明されており、「論理的思考を身につけたいけど苦手意識がある」という人にこそ読んでほしい内容となっています。

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読書目的:「考え方」で誰かの役に立てるようになるために

私がこの本を手に取った理由は明確でした。

◎ ゴール型の思考法(演繹法)を知って、仕事や生活に活かし、誰かの役に立ちたい

論理的に考えることは、単なるスキルではなく、相手の立場を尊重しながら的確に伝える「やさしさ」でもある。

そう考えていた私は、「誰かのために思考する」という視点をこの本から学べることを期待して読み進めました。

その結果、この本はまさにその期待に応えてくれるものでした。

以下、印象に残った10のポイントをご紹介していきます。

1. ロジカルシンキング3ステップで思考の軸ができる

本書の冒頭で紹介されているのが、「ロジカルシンキング3ステップ」です。

  1. 前提を確認する(それ、本当?)
  2. 根拠を調べて伝える(〜だからそうだよ)
  3. 自分だけの深い意見を持つ(それ、いいね)

この流れが非常にわかりやすく、実際の会話や提案、相談ごとに活用しやすいのが特徴です。

たとえば職場で「この提案で本当にいいの?」と思ったとき、まず前提を疑い、次に事実やデータで裏付け、最後に自分の考えを乗せる。

この基本があるだけで、説得力も自信もぐっと高まります。

2. ロジカル思考は“伝える力”を強くする

ロジカルシンキングを学ぶと、単に「頭がよさそうに見える」だけではありません。

本書では、「人にわかりやすく伝える力」「共感と説得力のある会話」ができるようになると説いています。

つまり、論理的に考える力=コミュニケーション力なのです。

たとえば、日常の会話でも「なんでそれがいいと思ったの?」と聞かれて答えに詰まることってありますよね。

でもこの本を読んでからは、「前提+根拠+意見」の思考を意識することで、会話の流れがスムーズになり、相手の理解も深まる実感が得られました。

3. 決めつけを手放すことで思考が深まる

「それって〇〇に決まってるじゃん」とか「どうせ△△でしょ」というような“決めつけ”を、私たちは無意識にやってしまいがちです。

本書ではこの「決めつけの魔力」こそ、論理的思考の敵であると注意喚起しています。

著者は「何事も“推定される”にすぎない」という意識を持つことで、思考の自由度と柔軟性がぐんと高まるといいます。

これは、ビジネスだけでなく子育てや人間関係でも役立つ視点です。

「たぶんこうだろう」と決めつけずに、「背景に何があるのだろう?」と一度立ち止まって考える。これだけでも、会話や判断に深みが出てくるのです。

4. 背景を読み取るクセが思考を深くする

「この出来事の背後には、どんな理由があるのか?」

この問いは、物事をロジカルに、そしてクリティカルに考えるための大切な出発点です。

本書では、「世の中のすべてをロジカルに切り取る」ことをすすめています。つまり、表面的な出来事に対して「背景に何があるのか?」と考えることが、深い洞察力につながるというわけです。

ニュースを見るとき、会議での発言を聞くとき、子どもとの会話の中でも、こうした視点を意識することで、相手の意図や事情を汲み取る力が育っていきます。

思いやりや気遣いも、実はこの「背景を読む力」から生まれるのかもしれません。

5. ロジカルだけでは人は動かない

「論理的に話しているのに、なぜか伝わらない・・・」

そんな経験はありませんか?

本書では、「考えはロジカルに。コミュニケーションは相手に合わせて」というバランスの大切さが語られています。

いくら論理的でも、それが“冷たく”感じられてしまえば、相手の心には届きません。

逆に、情熱的すぎても根拠がなければ信頼は得られません。

大切なのは、思考の土台はロジカルに、表現は相手に合わせて柔らかく。これは職場だけでなく、家庭や友人関係でも活かせる「伝え方のコツ」だと感じました。

6. 思考停止を防ぐ「クリティカルな問い」の習慣

マッキンゼー流のロジカルシンキングが他と違うのは、「クリティカルシンキング(批判的思考)」がセットになっていることです。

本書では、以下の3つが“クリティカルに考えるための基本姿勢”として紹介されています。

  1. 目的意識を持つ →そもそも何のために考えているのかを常に意識する
  2. 思考の枠を意識する →固定観念や習慣に縛られていないか確認する
  3. 問いを立て続ける →「本当にそうか?」「他に方法は?」と考え続けること

この3つを意識することで、「なんとなく」「とりあえず」といった“思考停止状態”を防ぎ、深い考察や新しいアイデアが生まれやすくなるのです。

7. 「知ってるつもり」から抜け出す

日常の中で「わかってるよ」「知ってるつもり」と言ってしまうこと、ありませんか?

でも、本当に理解しているかどうかを見極めるには、前提を自分の言葉で確認できるかどうかがポイントです。

「それって、どういう意味?」「なぜそうなるの?」と自分に問い直すクセをつけることで、知識を深く自分の中に落とし込むことができるようになります。

つまり、演繹法(前提から論理的に導き出す方法)を使うには、まず「前提そのものが正しいか?」という問いを立てる必要がある。

これは、物事を本質から理解するための非常に重要なステップだと感じました。

8. 因果関係と相関関係の違いを理解する

これは、ビジネスだけでなくメディアリテラシーや教育においても欠かせない視点です。

  • 相関関係:一見つながりがあるように見えるが、実は直接の原因ではない
  • 因果関係:明確な理由があり、原因と結果が合理的につながっている

例:「アイスを食べると水難事故が増える」→これは単なる相関関係(どちらも“夏”に起きやすいから)

物事の関係性を読み誤ると、判断や結論もズレてしまいます。

本書を読んで以来、ニュースやSNSの情報を鵜呑みにせず、「これは因果か?相関か?」を一呼吸置いて考えるようになりました。

9. 伝わる話し方の4ステップ

「伝える力」もまた、ロジカルシンキングの一部です。

本書では、話をわかりやすく構成するフレームワークが紹介されています。

  1. テーマ:何の話か?
  2. 結論:何が言いたいか?
  3. 根拠:なぜそう考えるのか?
  4. 行動:だから何をすべきか?

この4ステップを意識することで、「話がわかりづらい」と言われることがぐっと減りました。

たとえば仕事での報告やプレゼン、家庭での提案など、日常のあらゆるコミュニケーションに応用可能です。

特に「行動(だから何をするか)」まで含めると、相手に動いてもらいやすくなる実感があります。

10. 論理的NGワードに注意!

せっかくロジカルに考えていても、言葉の選び方ひとつで相手に伝わらなくなることもあります。

本書では「論理的に伝える」上で避けたいNGワードを5つ挙げています。中でも印象的だったのは以下の3つ。

  • 「私的には」 → 主観だけでは説得力がない。根拠や客観性を持たせることが大事。
  • 「イヤです」 → 感情ではなく、具体的な理由や問題点を伝える。
  • 「大丈夫です」 → あいまいな表現は誤解を生む。明確に「何が」「どう」大丈夫なのかを示す。

これらを避けるだけで、会話や報告の印象がグッと論理的かつ信頼されるものに変わります。

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実生活での活用と気づき

読後、私はさっそくこの「マッキンゼー流ロジカルシンキング」を日々の生活に取り入れ始めました。

職場では、報告・相談・提案のときに「テーマ・結論・根拠・行動」の順で話すように意識。

また、会話中に「それって本当?」と前提を確認することで、思い込みによるミスが減った気がします。

家庭では、子どもの「なんで?」に対してもしっかり根拠をもって説明できるようになり、自分の言葉で伝える力がついた実感があります。

ときには「なるほど!」と感心される場面もあり、自信にもつながっています。

まとめ:誰かのために思考するための、やさしい教科書

『マッキンゼー流 入社1年目ロジカルシンキングの教科書』は、単なる思考術の本ではありません。

「自分の考えを整理し、誰かに伝える」ためのやさしい教科書であり、「論理」という名のやさしさを届ける方法を教えてくれる一冊です。

  • 論理的に考えたいけど苦手意識がある人
  • 人前で話すのが苦手な人
  • 自分の考えをうまく言葉にできないと感じている人

そんな方にぜひ読んでいただきたいと思います。

私にとっては、「考える力=人の役に立つ力」なのだと再確認できた一冊でした。

ロジカルシンキングに苦手意識がある人ほど、「これならできるかも」と思える内容です。

日々の暮らしや仕事の中で、小さくても確かな変化を感じたい方に、心からおすすめします。

ありがとうございました!

また次回!

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