- 「なぜ書いても読まれないのか?」という根本原因
- Google E-E-A-T と価値提案(バリュープロポジション)の関係
- 無名でも読者を動かせる著者思考
- 読者像を描くための5つの具体的質問
もくじ
〈自己表現〉が読まれない3つの理由
ブログでもKindle出版でも、誰もがぶつかる最初の壁が「書いてもまったく読まれない」という現実です。
もちろん、文章の質やSEO対策、宣伝手法などさまざまな原因が考えられますが、実はその本質的な原因はもっと根深いところにあります。
それが、「自己表現を目的に書く」というスタンスです。
なぜ自己表現では読まれないのか? その理由は以下の3つに集約されます。
1.読者不在
「自分が書きたいこと」を中心に据えると、読者が求めていることとの重なりが偶然頼みになってしまうからです。
例えば、自分の内省や経験を書き並べても、読者にとって興味があるのは「自分自身の課題解決」です。
著者が満足するだけの文章は、読者のニーズを満たさないままページを閉じられてしまいます。
2.価値のすれ違い
読者が求めるのは「いますぐ役立つ情報」や「悩みの解決策」です。
著者の自己表現や感情は、読者にとって優先順位が低いため、内容がいくら充実していても価値が伝わりません。
3.検索アルゴリズムとの相性
Googleは、記事が「人間にとって有用かどうか」をE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)という基準で評価します。
つまり、自己表現中心の記事はGoogleの評価基準とも噛み合わず、検索上位に表示されにくくなってしまいます。
この3つが、自己表現型の記事や本が読まれない根本原因なのです。
では、どうすればいいのか?
その鍵は「目次づくりの考え方」にあります。
自己表現の落とし穴―「書きたい」≠「読まれたい」
自分の内側にある言葉を表現するのは素晴らしいことです。
ただし、「書きたいこと」と「読者が読みたいこと」がイコールでないと、どれだけ文章力を磨いても読者には届きません。
では、自己表現の罠を具体的に見ていきましょう。
“日記化”の罠
よくあるパターンが、体験や気づきを時系列で綴っただけの「日記化」です。
- 症状: ただ起こったことや感想を順番に並べる
- 結果: 読者の検索意図(悩みを解決したい、具体的な方法を知りたい)と噛み合わず、たとえクリックされてもすぐに離脱される。
たとえば、あなたがKindle出版の経験談を書いているとしても、「出版の流れを時系列で書いただけ」では「自分に役立つ情報は?」という読者の問いに答えられません。
“情報過多”の罠
もう一つの典型的なパターンは、読者に役立てようとしてあらゆる情報を詰め込んでしまうことです。
- 症状: 一冊(あるいは一記事)に、伝えたいことをすべて入れ込む
- 結果: 情報が多すぎて論点がぼやけ、結局何を伝えたいか読者に届かない
一つの本(記事)には、「一つの明確なメッセージ」を貫くのが鉄則です。
情報を過剰に盛り込むのではなく、「この本を読んだ後、読者がどんな行動を起こせばいいのか?」を逆算して書くことが重要です。
本や記事は「自己表現」ではなく、「読者の問題解決サービス」。
読者が記事を読み終えたあと、期待値が充足され、行動が促されて初めて「読まれた」といえるのです。
バリュープロポジションとは―重なる領域の探し方
「バリュープロポジション(価値提案)」とは、簡単に言えば「読者が求めること」と「自分が提供できること」が重なるポイントを明確にしたものです。
項目 | 内容 |
---|---|
読者が求めること | 悩みの解決・目標達成・感情の充足 |
自分が提供できること | 経験・技能・独自視点 |
重なり(=価値) | 「読まれる理由」 |
この「読まれる理由」こそが、あなたが書くべきテーマであり、目次を組み立てるときの核になります。
象限シートで可視化する
具体的な方法としておすすめなのが、以下の4ステップです。
- 読者の悩みを50個書き出す
- 自分の経験・リソースを50個書き出す
- クロスさせて「接点」をマーキングする
- 最も濃い接点(マーキングが集中したところ)が、あなたが書くべきテーマの核心となる
この作業を行うことで、自己表現ではなく「読者に価値を届ける」ための明確な軸が生まれます。
無名性を前提にする理由
「読者はあなたを知らない」という前提を忘れてはいけません。
初めから権威や肩書きに依存すると、読者からの信頼は築けないのです。
無名の著者が信頼されるためには、次のような構造を意識する必要があります。
- 権威に依存しない設計データや事例、読者の声など客観的な根拠を積み上げる。
- ストーリーで距離を縮める自己開示は必要ですが、それは「読者の未来に役立つ」場合に限ります。あなたの成功・失敗ストーリーは、読者が感情移入できる材料として使いましょう。
- 言葉選びは“対等な伴走”命令形(「○○すべき」)よりも提案形(「試してみませんか?」)や対話形式を心がけましょう。
読者像を描く5つの視点
目次づくりの前にやるべきことがあります。それは、「誰に話すのか」を徹底的に解像度高く描き出すことです。
以下の5つの質問を具体的に答えてみましょう。
質問 | 例 |
---|---|
①その人は今どこで読んでいる? | 通勤電車、寝る前のスマホ |
②何に悩み、どんな検索語を打つ? | 「Kindle 本 書き方 わからない」 |
③感情の現在地は? | 焦り7:期待3 |
④理想の未来像は? | 「無名でも月1万円の副収入」 |
⑤抵抗・恐れは? | 「批判されたらどうしよう」 |
この5つの質問を具体的に埋めることで、読者の姿が明確になります。
その結果、目次の作成が「単なる項目の羅列」から「読者が歩むべき道筋」へと変わるのです。
ペルソナカードに落とし込む
上記の5つの質問に答えたら、それを1枚の『ペルソナカード』にまとめてください。
ペルソナカードには、次のような情報を簡潔に記載します。
- 読者像(年齢・性別・職業など)
- 読者が抱える具体的な悩み
- よく使う検索キーワード
- 理想の未来(具体的な目標)
- 感情の状態(不安や期待などを数値化)
- 行動を阻む障害や恐れ
これをデスク周りなど常に目に見えるところに貼っておくことで、書いている途中でも、迷いなく読者に向かって言葉を届けることができます。
すると目次の項目一つひとつが、「読者の頭の中にある問いへの答え」として設計され、序章で読者を共感させ、終章で読者を具体的な行動へと促す流れを作り出せるのです。
まとめ|“読者9割・自分1割”を合言葉に
最後にもう一度、ここまでのポイントを整理します。
- 自己表現 → 価値提案へ切り替える書きたいことではなく、読者が解決したいことを基準に。
- 無名前提で信頼を積み上げる構造を設計権威に頼らず、データや事例、共感できるストーリーで信頼を築く。
- 読者像を具体化し、目次は読者の問いの順番に並べる目次は読者の頭の中にある「疑問と答えの対話」を再現する。
本や記事を通じてあなたが目指すべきことは、「読者に役立つ情報を届け、その先の行動を促すこと」です。
「自分はまだ無名だから……」と尻込みする必要はありません。
無名でも、読者の気持ちに寄り添った構造があれば、自然と読まれる記事・本になるのです。
今回紹介した方法を使って、さっそく目次づくりからスタートしてみてください。
ありがとうございました!
また次回。